「そろそろ家を建てたいな・・・」 そう考えたとき、まず最初に始まるのが土地探しだと思います。
「宅地」とひとことで言っても実は行政の定めや周辺環境による条件など、パッと見じゃわからないことが多々あります。
そうした難しい部分まで話すとキリがなくなるのでココでは無視しますが、私自身(不動産業を始める前に)土地購入の際、
市街化調整区域(許可なくして建築物が建てられない区域)を何の説明もないまま購入させられた経験があります。
これは本来、プロに任せれば事前に解決してあるはずの部分なので上記事例はそーとーレアなケースですが、
個人や近親者間売買、あるいは前者のように業者であっても昔ながらの「なぁなぁ売買」をする売主がいるのも事実。
それら難しい部分については末尾にワードを掲載しておきますので、興味のある方は検索してみてください。
と、いうことで
ここではそういったムズカシイ類の話しは解決してるものとして、単に土地を平面上で見た場合のお話しをします。
内容としては基礎的なお話しに終始しますので、「そんなの知ってるよ」という方は読み流してください。
【情報@ 形状】
☆ a、b、c、d、e はともに10m×16m(160u≒48.5坪)で同じ面積で同じ価格
☆ a、c、e は5m道路に接道し奥に細長い敷地、b、d は6m道路に接道し間口が横に広い敷地
5m道路に対して奥に細長い敷地 a、c、e と、6m道路に対し間口が横に広い敷地 b、d で、もし坪数や単価が同じならどれを選びますか?
単に接道や形状の情報@だけで答えるなら当然 「6m道路に対し間口が横に広い b もしくは d」 ですよね。それで何ら問題ないと思います。
ではこの「形状の情報」に東西南北の情報を加えて作図してみましょう。
【情報A 東西南北】
日本は四季があり、全国様々な気候風土が存在します。
穏やかな日だけならいいですがそうは行きません。
ここ新潟で考慮すべきは冬季に吹く風=北〜西にかけての季節風です。
と、いうことは、
形状の情報で「良」と判断した b、d ですが、なんだか雲行きが怪しくなってきました。
さらにこれに、以下の周辺固有の情報を加えていきます。
【情報B 周辺特有の情報】
☆ a、c、e の接道は5m幅、南側にある公園で行き止まり、交通量も少ない
☆ b、d の接道は6m幅の主要幹線道路で昼夜問わず交通量が多い
さぁ、こうなるといよいよ「同じ条件なら b か d」とは言えなくなってしまいました。
参考として、隣地境界線から約1m離して建坪3×5間(約6.3m×9m)の建築物を平面図で落とし作図してみましょう。
【情報C 太陽光】
季節風などのほか、自然の摂理として太陽は東から昇り、西に沈みます。
太陽はエネルギーの源ですので利用できるところはもちろん利用したいですが、
東西の角度のある直射日光は生活する上で邪魔になる場合があります。
要するに
☆ できるだけ季節風(北、北西)の影響は避けたい
☆ できるだけ有効な光(南)を効率よく取り入れたい
と、家を設計する際に誰もがそう考えることになるワケですね。(常識的な設計士なら)
となれば北西方向に背を向けることができ、かつ南方向に開放的である a が最も自由度があることになります。
上で定義した交通量など周辺特有の情報など加味すれば尚更です。
a のように南側が公園等で開け、当面ほかの建築物が建つ心配がないとなればこの上ない好条件なわけですが、
まぁ現実的には売主側もバカじゃありませんので、通常は価格が d<b<e≒c<a ということになります。
「そんな単純なジョーシキを何をいまさら」という声が聞こえてきそうですが、「そんなこと」を百も承知の皆さんはそれはそれで。
こういった自然の摂理や周辺環境について曖昧な捉え方をされてる皆さんがおられましたら参考としていただければ幸いです。
土地を選ぶ際これら不利な部分を排除して選べればベストですが、予算の関係などからそう上手く行かないのが実情でしょう。
敷地に対し家をどう置くか?を理解すれば、不利なように見えて実は有利な展開ができる宅地も選択肢に入ってきます。
一般的に不利とされる土地を安く手に入れ、あれこれ知恵を働かせながら個性的な家を建てるのもなかなかの醍醐味です。
ご希望があればご提案&アドバイス等いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
追記:【既存の建物との関係】
上では「南側が公園」といった好条件を例にしましたが、たとえば隣地に背の高い建物があるとか、古い空き家があるなど、
知恵だけでは解決できそうにない問題をかかえてる土地だって、もちろんあります。
そんな場合、どうするか?
そこに特別な思いや事情のない限り、その土地とは縁がなかったものとして次を探すことをお勧めします。
一ヵ所にこだわらず、広く長い視野を持って、いくつか候補を挙げながら探すのも方法です。
宅地選びは予算や家の大きさから逆算するのではなく、自然条件や周辺環境を理解することから始めていただければと思います。
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